最近ではテレビのドキュメンタリーなどでも取り上げられることがあり、多くの人たちが認識しているのが若年性認知症です。以前なら認知症といえば高齢者だけの病と思われていましたが、最近では働き盛りの若い人たちでも認知症になってしまうことがあり18歳から64歳で発症する認知症を若年性認知症と呼んでいます。

若年性認知症の基礎知識

特に40代や50代といった働き盛りの人たちが発症することが多く、日本でも数万人の人たちが発症しているといわれています。

若年性認知症の初期症状には人の名前が覚えられないとか物忘れが激しいといったものがありますが、毎日忙しい40代や50代の人たちにとって見逃されがちです。

年齢の若さからいってもまさか自分がもしくは家族がという気持ちが働きつい初期症状を見逃してしまい早期発見、早期治療のチャンスを逃してしまうといったケースも少なくはありません。

またストレスやうつ病などといったほかの病気と誤解を受けてしまう場合も多く見られるようです。

働き盛りに発症する若年性認知症ですから、一家の主が発症した場合は今後の生活に大きな影響を及ぼします。若年性認知症は本人だけではなく家族をも巻き込んでしまうとても恐ろしい病気といえます。

少しでも進行を遅らせるためには早期発見と適切な治療が大切なのは他の病気同様です最近物忘れが激しいなと感じている人は年のせいなんて楽観せず専門医を受診して検査を受けるようにしましょう。

若年性認知症の初期症状

若年性認知症と一言で言っても原因や症状もさまざまなものがあり、その原因によっては早期治療によって症状を改善することもできます。

記憶力の低下、理解力や判断力の低下、妄想や幻覚症状、徘徊や攻撃的になるなどの異常行動、昼夜逆転といった症状があります。

中でも初期症状として現れるのが記憶力の低下や判断力などの低下です。年齢とともに衰えてくることが多い記憶力ですから、40代くらいになるとつい年のせいと勘違いしてしまうケースが多いようです。

アルツハイマー性の若年性認知症は多くの場合物忘れが初期症状として現れてきます。また新しいことがなかなか覚えられなくなったり、段取りを追って物事を行うことが困難になったりします。

ですから仕事を持っている人であれば今まで難なく新しい仕事を覚えられていたのに最近では難しくなったとか、主婦であれば料理や掃除などの段取りがうまくできなくなったということが起こってきます。

若年性認知症の初期症状に気付きずらい理由の一つに、「まさか自分が!」と思う気持ちがあると思います。しかし、認知症は放っておくと日常生活ができなくなります。初期症状を見逃さず早期に治療を受け症状を改善していきましょう。

若年性認知症の予防

若年性認知症はアルツハイマー病や脳血管障害、頭部外傷、そして脳腫瘍などの脳の疾患が原因となり発症するといわれています。

若年性認知症はその名のとおり発症年齢が低く脳の前頭葉や側頭葉が萎縮して言語障害や記憶障害、性格や人格を大きく変えてしまう病気です。

認知症といえば高齢者というイメージが強いですが最近では低年齢化が進み、若年性認知症を発症している人たちが増えています。

本人も家族もとても辛い思いをする若年性認知症を予防するためにも規則正しい生活がとても大切になってきます。食生活や睡眠に気を使い、適度な運動を心がけ、ストレス解消に心がけ毎日を活き活きと生活するように工夫していきましょう。

若年性認知症の予防には食生活の改善はとても大切です。緑黄色野菜やDHAを多く含むさばや秋刀魚、いわしなどの魚類、ビタミンEが豊富なゴマなどを積極的に食生活に取り入れて若年性認知症を予防していきましょう。

また多量の飲酒や喫煙も認知症に悪い影響を及ぼしています。禁酒や禁煙を心がけ生活改善を行うようにしましょう。

また初期症状を見逃さないためにも定期的な脳ドックは効果があります脳ドックを受け、脳腫瘍や脳梗塞などの脳疾患を早期発見し、治療を行うことも若年性認知症の予防につながります。

若年性認知症は突然発症するのではなく脳の小さな異常が少しずつ進行し認知症へとつながっていきます。若年性認知症には何らかの原因が潜んでいることが多いのでその原因を見逃さないのが予防のひとつです。

 

若年性認知症の原因となる疾患

若年性認知症の原因となる疾患にはよく耳にするアルツハイマー病のほかに、脳血管障害、脳腫瘍などの脳疾患による後遺症、頭部外傷による後遺症、薬物やアルコールの依存症、パーキンソン病やピック病といったものがあります。

それぞれの原因によって改善できるかできないかにも違いがあるだけではなく、症状の現れ方や治療方法なども異なってきます。現在の医学では原因によっては進行を抑えたり改善させることもできるようになってきています。

たとえば脳疾患が原因の場合であれば、外科的手術や薬物治療などによって症状を改善できる場合が多いし、アルツハイマー病であっても早期発見しリハビリなどの早期治療を行うことで回復、もしくは進行を遅くすることが可能です。

いろいろな原因が考えられる若年性認知症ですが、原因を突き止めるのはなかなか難しいことですですから、経験豊かで信頼の置ける医師がいる医療機関を見つけ出し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

若年性認知症はうつ病の症状と似ている部分もあり、若さからうつ病ではないかと勘違いしたり診断されてしまうこともありますどれだけ早い段階で治療が開始できるかによっても今後の改善に大きく影響を及ぼすので、受診する医療機関は慎重に選ぶ必要があります。

 

アルツハイマー型若年性認知症

若年性認知症の中でも2/3を占めているといわれるのがアルツハイマー型若年性認知症です。アルツハイマー病とは何らかの原因によって脳神経細胞が急激に減少し、脳が萎縮し小さくなってしまう事によってさまざまな症状を表してくる病気です。

アルツハイマー病のはっきりとした原因は解明されていませんが、最近になって「プレセニリン」という危険因子が大きく関与しているのではないかということがわかってきており遺伝性もあるのではないかと言われています。

アルツハイマー病というと高齢者の病気と認識されがちですが、もともとは若年性の病気です。現在の高齢化社会に伴い高齢者のアルツハイマー病が増えたことで高齢者の病と思われがちですが、若い頃から脳に病変が起きてしまう病気なのです。

アルツハイマー型若年性認知症の初期症状としては物忘れや新しいことを覚えられないといった症状があり、物事に対する意欲や自発性も低下してきます。

中期になると瞬間的なことしかわからなくなり、大声を出すといった行動障害が現れ、コミュニケーションも取れなくなってしまいます。

そして後期になると行動障害は少なくなりますが、けいれん発作がおこったり、食事や歩行も困難になり寝たきりの状態になってしまいます。

アルツハイマー型若年性認知症は気付かないうちに発症し、長時間かけてゆっくりと進行していきます。ごく初期には頭痛やめまい、不眠、不安感、抑うつ状態といった症状があるので早期発見するためにもこういった症状がある場合は軽視せず、専門医で検査を受けるようにしましょう。

最近ではアルツハイマー型若年性認知症に効果を表す薬も開発され、進行を抑えることができるようになって来ています普段の生活習慣なども見直し、異常を感じたら早めに対処するように心がけましょう。

 

脳血管性若年性認知症

若年性認知症の原因の中で脳血管の疾患が原因のものを脳血管性若年性認知症と呼びます。脳内出血や脳梗塞などで脳の血管に異常をきたし、酸素が届かなくなったりすることで脳の一部が破壊されてしまうことによって引き起こされる若年性の認知症です。大部分は多発性脳梗塞が原因と言われています。

脳血管性若年性認知症の症状は破壊された脳の箇所によって違いがあり、ある能力は低下しているが別の能力は大丈夫という様にまだらぼけ状態になり正常な部分と異常な部分が混在したような状態になります。

アルツハイマー型若年性認知症同様、物忘れや意欲の低下、記憶障害といった症状を表しますが、人格や判断力には異常が見られないことが多いのが特徴です。また脳梗塞などによって運動機能の低下や言語障害などを伴う場合もあります。

しかし脳血管性若年性認知症の場合はアルツハイマー型とは違い改善する見込みのある認知症です。外科的手術や薬物療法、運動療法といった治療が行われており、これらの治療によってほとんどの症状を改善することができます。

脳血管性若年性認知症は男性に多く見られ、50歳から60歳代での発症が多いといわれています。ちょっとした脳梗塞は気付かないうちに起こっている場合もあります。普段から高血圧の人や脳卒中などを引き起こした経験がある人は注意が必要な病気です。

アルツハイマー型若年性認知症と違い原因を突き止めることが可能な認知症ですから、定期的な検診で未然に予防したり、物忘れが激しいときは専門医で検査を行い治療を行うようにしましょう。

 

前頭側頭型若年性認知症

前頭側頭型若年性認知症とは脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することによって引き起こされる認知症です。

前頭側頭型若年性認知症は若年性認知症の中でも比較的発症年齢が低く、平均発症年齢は49歳で早ければ20代で発病する可能性もある認知症です。代表的なものにアーノルド・ピックという人物が発見したピック病というものがあります。

ピック病はアルツハイマー病の1/3〜1/10の発症率で若年性認知症の原因としては少ないほうですが、日本国内でも1万人以上のピック病発症者がいるといわれています。

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮してピック小体といわれる物質ができてしまうために発症する認知症です。他の若年性認知症同様の症状もありますが、人格変化を大きく伴うのが特徴と言われています。

身の回りのことに無頓着になり不潔になったり、怒りっぽくなる、日常生活での異常な行動などが見られるようになり、次第に記憶障害や言語障害などの神経障害が現れてきます。

そのため本人や周りが気付かないうちに外出先などで問題行動を起こしてしまい、大変な事態になってしまうというケースも少なくありません。現在の医学でははっきりとした原因や治療方法が見つかっていなく、きちんと診断できる医師も少ないといわれています。

あまり聞きなれないピック病ですが病気が周知されることによって若年性認知症の原因として増えてくる可能性もあります。早期発見により進行を抑えることも可能なアルツハイマー病や外科的療法などによって改善することができる脳血管性のものと違い現在では有効な治療方法が見つかっていません。

 

その他の若年性認知症

若年性認知症の原因にはアルツハイマー病、脳血管の疾患によるもの、ピック病などのほかにもさまざまな原因があるといわれています。

交通事故や転倒などによる外傷が原因の頭部外傷後認知症、アルコール依存によるレビー小体認知症などがあります。頭部外傷認知症は何らかの原因によって頭部に外傷を受けた後に発症する若年性認知症です。またレビー小体認知症はアルコールを長く飲み続けることによって脳が萎縮してしまうもので、脳にレビー小体という物質が蓄積することによって引き起こされてしまいます。

このように若年性認知症にはさまざまな原因となる疾患があり、治療を始めるにあたって原因となる疾患を見極めることが大切となってきます。日本でも若年性認知症を発症している人は数万人と言われていますが、全ての人が正しく診断されているわけではなく実数は10数万人にも及ぶのではないかと言われています。

実際、最近物忘れが激しかったり様子がおかしいといったことが合っても、まさか認知症などとは思わず放っておくことが多いのが若年性認知症です。

現在では日本でも若年性認知症に関する研究も進んでおり、新薬の開発なども行われています。若年性認知症と診断されたからといって全てが治せないものではないので、経験のあるできれば名医といわれる医師によって正しい原因を見つけ出し、適切な治療を行っていきましょう。

高齢者の認知症に比べ進行速度が速いのが若年性認知症ですですから早目の治療がとても大切です。

 

若年性認知症の治療

昔なら何の手立てもなかった若年性認知症ですが、医学の発達と共にさまざまな治療方法が行われ、原因や症状によっては早期治療によって改善することもできるようになってきています。

若年性認知症は記憶などの知能を測定する検査や心理テストなどを行うことによって早期から診断することが可能です。またCTや MRIといった画像診断で脳の萎縮部分を見つけることもでき、原因となる疾患を診断することもできます。

若年性認知症の最も多い原因といわれるアルツハイマー病の治療にはアリセプトといわれる薬が保険適用薬として用いられています。

アリセプトはアルツハイマー発症の原因となっているアセチルコリンの減少を抑えるという効果があるためアルツハイマー病の進行を遅らせるという意味の治療になります。またアルツハイマー病の原因といわれるアミロイドベータ蛋白を抗原としたワクチンも開発中です。

進行を遅らせるために回想法や音楽療法などのリハビリ的な治療も行われています。

若年性認知症の治療は神経内科や精神科などで行われていますが、最近では認知症を専門とする認知症外来や物忘れ外来といった専門科が増加しているので、もし回りにそういった医療機関があるなら専門科での治療を行うようにしましょう。

若年性認知症は働き盛りの年代の人たちが多く発症する病です。もしも家計を支える家族が認知症になってしまったら、介護だけではなく経済的な問題や介護する人の心理的なストレスといった問題も発生してきます。

若年性認知症の治療には医療機関だけではなく家族の協力も必要とされるので、様々な問題に対して誠実に対応してくれる医師を探し治療を行っていきましょう。

 

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